最果てのエデン
「――美月と連絡が取れない?」
そう俺に神妙な顔で言ったのは、オレンジ色の髪の毛の少女だった。
バイトが終って『La lune de l'hiver』の裏口から外に出た途端、切羽詰った様子で声をかけてきた彼女を、追っかけのような女性客かと無視しようかと思ったのだけれど。
『美月が』と動いた彼女の口に、すぐに立ち止まってしまった自分がどうしようもないなと少し思う。
そんな取りとめもない感想も、彼女から発された台詞で吹き飛んでしまうのだけれど。
「連絡が取れないって、なんでまた」