最果てのエデン

「うん、」

「自然に思い出すときは思い出したらいいし、忘れてるときは忘れててもいいんじゃないかなと俺は思ってるけど」

「―――万葉は、怒らないかな」


あたしだけが生き残って。
そのあたしがのうのうと笑って生きていて。

そんな現実を、あの子はどんな風に思ってるんだろうと思うのが怖かった。
そんなあたしを、万葉を大切に思っていた人たたちがどんな風に見るのかなって、思うのがずっと怖くて。


ぎゅっと眼を瞑って、身体に力を込めたあたしに降って来たイチくんの言葉は予想外のあっけらかんとした響きを伴うものだった。


「そんなの、俺が知るわけねぇだろ。っつうか誰にもわかんないだろ、それは。――もう、万葉はいないんだから。だから、それを決めるのはお前の中の万葉だけで、だから、」


イチくんは言葉を区切って、美月とあたしの名前を呼んだ。
そして導かれるように眼を開けたあたしと視線を合わせた。

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