最果てのエデン
「わかる? 美月? わかんなくてもいいけど。何回でも話してやるから一緒に考えて言ったら良いと思うし」
優しいイチくんの声に、あたしはどうにもならないほどにまた泣きたくなった。
何年ぶりかに活動を再開した涙腺が可笑しくなっちゃってるのかもしれないな。
そんなどうでもいいようなことを頭の片隅で考えながら。
イチくんの名前を呼んで、その腕に縋るあたしは、イチくんに逃げてるのかもしれないなと分かりながら。
「――大丈夫、どうしてもわかんなかったら、俺の所為にしてたらもうそれでいいから。俺が支えてやるから」
イチくんの声はたまらなく優しくて。
でもやっぱりどこかにどうしようもない諦めを含んでいるように思えて仕方がなくて。
でも、それを覆せる何かなんてあたしにはなくて。
だからその声に身を預けることしか出来なかった。