最果てのエデン


「ねぇ美月ちゃん、いいでしょ? 相手してよ」


そう言って身体を寄せてくる男をあたしは横目で確認して内心頷く。

うん、悪くはない。
悪くはないどころか、結構好みだ。

にこっと優しげに笑ってそいつは、ぺらぺら言葉を乗せていく。
いわく「俺美月ちゃんのこと前から気に入ってたんだよね」。


別にそんなことはどうでもいいけれど。
ただ、なんとなく寂しい気がしてる今日のあたしを紛らわしてくれたらいいんだから。

最近のあたしのお気に入りで、よく訪れるバー『La lune de l'hiver』。

ほんのりとしか明るさに照らされないカウンターに1人で座っていたら、声をかけてきたのがこの男だったって、それだけ。


あたしもにこっと唇に笑みを乗せる。

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