最果てのエデン
「いいよ、別に」
「オッケー。じゃあ出る……」
「申し訳ありません、お客様」
すっと会話を分断して振ってきた声に、あたしもそいつも思わず顔を発信源に向ける。
カウンターの奥にいたその人は、びっくりするくらいきれいな顔をしていて、あたしはつい凝視してしまった。
タイを着けたバーテンダーらしい正装で、少し長めの黒髪が首筋にかかってる。背の高い人だった。
隣で誘ってきた男が苦い顔で彼を見ている。
あたしは何故かその人に懐かしいような感覚を覚えたんだけれど、(そりゃ見覚えあって当たり前か。あたし最近ここに良く通ってるんだから)そう納得して、展開を見守ることにした。
「当店でそのような行為はちょっと」