最果てのエデン
「――には関係ないと思うんだけど」
「――関係、ねぇ」
丁寧だった口調を崩して、その人は皮肉な笑みを整った顔に刻む。
そしてたぶん他のお客さんに聞こえないようにだろう音量を押さえて、低く囁いた。
「――俺にそんな口聞いていいほど、偉くなったんだ、芹沢は」
そんなたった一言と、一睨みで完璧に引け越しになった男が情けなくて、あたしの盛り上がりかけてた気持ちは急速に萎え始めてしまった。
――ん? あれ、芹沢ってなんか聞いたことあるような……。
「………芹沢?」
「何、あんたもこいつが誰だか知らないで寝ようとしてたのかよ」