最果てのエデン
鋭い電子音が鳴り響いて、あたしの思考は今に連れ戻された。
急速に右目の疼きが治まっていくのを感じながら、あたしは携帯電話を取る。
表示されていた名前には見覚えがあったものの、顔と一致させるのには少し時間がかかったけれど。
「……はい」
『あ、もしもしー? あたし、アミだけど。美月今ヒマ―?』
甲高い声にあたしは軽く携帯電話を耳から浮かした。
そして繋がる。遊び仲間の苗字も知らない赤髪の少女を。アミも確か今高2なはずだ。
人懐こい笑顔も同時に思い出してあたしの身体から力が抜けていく。
テーブルに置いていた煙草に手を伸ばして口に銜える。そして火を点して、吐く。
これはあたしにとっては、精神安定剤みたいなものなのかもしれない。