最果てのエデン
「タケさんって、だから誰? あたし名前に聞き覚え全くないんですけどー」
『タケさんだってばー。ほら、『La lune de l'hiver』の!』
「……………え?」
もどかしそうなアミの声にあたしの時間は一瞬止まった。
『タケ』。
また右目の痛みがぶり返してきた感覚に襲われながら、あたしはなんとか声を振り絞る。
「ねぇ、アミ。そのタケさんの本名って、知ってる?」
『えー? どうだったかなぁ。みんなタケさんとかタケくんって呼んでるから……。って言うかそんなの美月の方が知ってるんじゃないのー?』
「いいから! ――ねぇ、タケさんのタケって、『武永』じゃないよね?」
『あ、そんな苗字だったような気がしてきた! なんだやっぱり美月しってんじゃん』