最果てのエデン


『ごめんね、ごめんね、イチくん。あたしが生き残っちゃった。あたしだったら良かったのに。万葉じゃなくて、あたしだったら』


万葉の49日が済んだ頃だった。

何故か泣くこともできずただ平淡にそう告げた途端、あたしは乱暴にイチくんに抱きしめられた。

あたしはそのとき手首に馬鹿みたいな数のためらい傷をつくっていて、細くでも確かに血が滴るのを感じていた。


『逃げんな、美月。死んで逃げるなんて、そんなの俺が許さない』


ぎゅっとあたしを抱きしめたイチくんの体温を、怒気を、あたしはきっと忘れられない。

だから、死ねなかった。
だから生きてきた。







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