最果てのエデン
『危ないよ、美月ちゃん』
『大丈夫だって! 万葉は心配性だね』
万葉は身長も低くて、2人が並んでいるとまるで姉弟のようだった。
俺はそんな2人の微笑ましいとしか言いようがないやり取りを見るのが好きで、時間を作っては相手をしていた。
それも中学に上がって忙しくなるまでの話が主になるのだけれど。
『ごめんね、イチくん。あたしなんかが助かっちゃって。ごめんね、万葉をとっちゃった』
導かれるように脳裏に映し出されたのは、万葉がいなくなって2月ほど経った頃の夜に、俺の家の前で佇んでいた美月の姿だった。