最果てのエデン
イチくんと、彼のことを呼んでいいのだろうかとあたしは急に不安になった。
――昔はずっと、そう呼んでたけど。今とあの時とじゃ状況も立場も違いすぎるし、何より――……。
イチくんはあたしを許してなんか、ない。あたしはそう思っていて。
それが苦しくて、けれど忘れられていなかったことが嬉しいようにも思う。
「……遅いなぁ」
呟いて、携帯電話で時刻を確認する。
3時に近い。
最近、イチくんはこの家に居る時間が極端に少なかった。