それでも私はあなたが好き
「おーい悠馬。終わったか?」
夕方の教室に、聞いたことのない声が響いた。
声の方を見ると、茶髪の少しチャラい人がいる。
「あ、彬…」
悠馬くんがポツリと言った。
「部活、終わったのか?」
「ああ。今終わってお前を迎えに来たわけ」
“彬”という人は教室に入って、市ノ瀬くんの元へ来た。
「…………何?」
さっきから私のことをじっと見ている。
「悠馬。この子、誰?」
私の顔を見ながら市ノ瀬に尋ねた。
直接私に聞けばいいのに───…と、少し不満に思う私。
「同じクラスの太田さん。一緒に学級委員の仕事してたんだ」
「ふーん…太田さん、彼氏とかいる?」
「えっ!? い、いないけど…」
何で市ノ瀬くんのいるとこで聞くのよ!!
私は恥ずかしくなって下を向いた。