それでも私はあなたが好き
「そうなんだ。あ、俺の名前は天野 彬。太田さんの名前は───…?」
「えっ、あ……ひかり、です」
「ひかり…これから俺、ひかりって呼ぶわ」
よろしくな!ひかり。と言って天野くんは私の肩を叩いた。
見た目はチャラいし、ちょっと強引な人だけど…すごく良い人だと思う。
「悠馬!さっさと帰ろうぜ。ひかりの家、どこ?」
いつの間にか支度が終わっていた市ノ瀬くんの隣にいる、天野くんが言った。
「えと…こっから15分で着く駅の近くなんだけど…」
「俺ら地下鉄乗って帰るから、一緒に帰ろうぜ。女の子一人だと危ないし…な?良いだろ?悠馬」
「そうだ…な」
うわぁ…
市ノ瀬くん、すごくイヤそうな雰囲気出してるよ────
「だっ、大丈夫!いつものことだし」
「だーめ。何かあったらどうするんだよ。事故にでも遭ったらさ」
天野くんがそう言うと、市ノ瀬くんの肩がピクッと反応したような気がした。
「早く帰ろう。太田さんも」
市ノ瀬くんは私達に背を向けて言った。
────い、良いのかな…本当に
「ありがとう。市ノ瀬くん、天野くん」
こうして一緒に帰ることになった私達だった。