Simple

「…ふ、ふふっ」

「…くくっ」


 それからあたしと怜都は声をあげて笑いだした。


 あたしは机をバンバン叩いて、怜都はおなかをおさえながら…。



 やっと笑いが収まったとき、涙をふきながら言った。



「よく、覚えてたね。怜都のくせに。」


「そりゃ、忘れらんないよ。人が頑張って作ったケーキを食った後、言ったのがあれなんだから。」



 そう、あの台詞はこのガトーショコラを初めて食べた時に言ったもの。


 あの時、あんなこと言ったあたしもどうかしてるけど、それに対してうやうやしく礼して言った怜都もどうかしてる。


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