Simple

「…あれ、怜都どこ行くの?」

「んー、キッチン。」



 …怜都の奴、逃げたな。

 

 昔から怜都は人の話を聞くのがあたし以上に嫌いだった。

 相槌はうってくれるから、パッと見、聞いてるのかなぁと思うけど、実際はただ流しているだけ。


 でも、クラスの奴らはごまかせても、あたしはごまかせない。


 なので、無理やり話(特に失恋話)を聞かせるようにすると、最近じゃ理由をつけで逃げてしまう。



 …もう慣れたからいいけどさ。
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