あの日から
デスクに向かっている僕に近藤先輩が声をかけてきた。

「ケイスケどうだ?新しい企画は?」

近藤先輩はよく僕の面倒を見てくれている先輩だ。誰とでも仲良くしゃべれる様な人で 僕も知らぬ間にある程度は心を開いて話しができる。人と仲良くなるのも特技だなと、この人を見ていていつも思う。尊敬できるところだ。
ただ、女性にだらしがない所もある。けっして悪い人ではないのだが 仲良く話す分 人気もあるのだろう。
僕はそういう面での近藤先輩は冷たい目で見ている。

「順調にいってます。」

「そうか。今回その企画を松木と進めたらどうかと思ってるんだが、どうだ?」

「え?松木ですか?」

松木は1つ下の後輩で 話したことも数えるぐらいの言ってみればほぼ初対面に近い。
しいて言えば おっちょこっちょいなイメージだ。
よく どうとでもない事で失敗し、怒られているのを見たことがある。

「松木と2人で進めるんですか?」

「進めると言っても ケイスケの企画が通るかはわからないからな。オレもいい企画だとは思うし、この機会に後輩と組んでやってみたらどうかと思ってな」

「はぁ・・」

「じゃあ そういう事で課長にはオレから言っておくよ」

そう言うと近藤先輩は立ち去ってしまった。

はぁー・・・心にため息がもれる。
どうして後輩となんだろう?今回の企画は自分でも自信があるものなのに。だから どうしても通したい企画なのに・・

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