My cat
気迫負けして校内の案内を承諾した。
そして授業はほとんど教科書なんかを見せたり、なぜか俺に向かってくっちゃっべてる牧野の話を聞いてるフリをしたり、いつもさぼりぎみの授業に出たのもあってさすがに疲れた。
まぁ、第一の原因はおそらく…いや、絶対この女だけど。
そして昼休み、牧野との約束の時間が訪れた。
「光くーん。行こっ?!」
「あ、ちょっと待てよ…」
俺は念のため携帯をポケットの中に突っ込んだ。
気合の入っている牧野にひっぱられながら教室を出る。
なんだかどっちが転校生だかわかんねえ。
「…んで、ここが音楽室。だいたい鍵は開いてるから使いたいときに使える。」
「ふえー。ここの校内って大きいよね。
何がどこにあるか全然覚えらんないや。」
「まだ転校してきたばっかだからそれは仕方ねえだろ。
すぐわかるようになるだろうし、わかんなかったらそこらへんのやつに聞けよ」
「そうだねっ!!
あー、早く友達できるといいなぁ」
「てめぇみたいな図々しいしいやつならすぐできんじゃねぇの?」
「図々しいって何ーっ??」
「そのまんまの意味だよ…」
この図々しさ、自覚ないんだな、こいつ。
俺は牧野に聞こえない程度に小さなため息を漏らした。
「ひーかるーーーぅ!!!!」
遠くから俺の名前を呼ぶ声が聞こえ、後ろを振り返った。