君の隣で
「俺は、自分の名前が嫌いなわけじゃない。気にしてるだけだ」
それだけ言うと、また顔を机につけた。
気にしてる?嫌いなわけじゃない?
ってことはさぁ…
「自分の名前、好きってこと?」
「好きじゃない。けど、気に入ってはいるよ」
…………んん?
自分の名前を気にしてるけど、気に入ってるぅ?
「どおゆうこと?」
「だってさ、梓夢だぜ?珍しいだろ、この名前。普通の名前なんかよりは、珍しい方がいい」
矢野くんは、軽く微笑んで言った。