Love Water―大人の味―
cake―お礼と気持ち―




デスクに着くと同時に、隣の梨華が顔を上げて笑顔を見せた。



「おはよ、雨衣。さすが、ちゃんと出社したわね」



「まぁね」



えらいえらい、と頭を撫でてくれる梨華に、照れながら応える。



……本当は、今日はサボろうと思っていたことは心の中にしまっておく。



3時間以上も飲み続けて、泣いて、二日酔いで頭も痛いから、今日は休もうと思っていたのは、つい今朝まで。



部長のメモを目にして、会社には行かなきゃと思ってしまった。



だって、彼の部屋で眠ってしまったから。



上司のベッドで寝て、次の日はそのままサボりなんて桐生部長に知られたら、今度こそクビだ。



だから薬を飲んでなんとか気持ち悪いのを堪えて出社。



梨華は、あたしが昨日はあのまま帰ったとすっかり信じているみたい。



ごめん、梨華。



小さな罪悪感を抱きながらも、心のどこかでは自分に言い訳をしてる。



失恋は悲しくて悲しくて、お酒でも飲まなきゃやっていけないのよ、って。



それで、次の日会社を休んだら社会人失格なんだけど。



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