夢の時間
部屋にいき入院セットが入ったボストンバッグから着替えを出すと、それを見た平田が気を使った

「カルテ取ってくるから着替えてて」

リコは平田が出て行ったのを確認して着替え、そのまま布団にもぐりこんだ

目を瞑ればさっきまでの大会の光景がよみがえった

何も考えたくなかった

でも無心になろうとすればするほど、楽しかった時間がよみがえり涙があふれてきた

枕に巻いたタオルで涙をぬぐっているとドアが開く音がして足音が近づいてきた

「寝てるのか?」

辰巳の声だった

「起きてる」
「疲れが出てくる前に診察させて 薬も飲んでくれ」

「うん・・・」

有無言わせない治療の日々がまた始まる・・・

そぉ思うと悲しくてでも反抗する気力も残ってなかった

額に当てられた手、バイタルを確認するために腕を掴む手、聴診器をあてる手・・・

そして薬を差し出す手・・・

これが現実だった
< 122 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop