夢の時間
辰巳は今朝平田がしたのと同じようにパジャマの袖をまくり血管を探した

朝に比べると若干であるが取れそうな気がする

ゴムバンドが巻かれ狙いを決めようとしている辰巳とは裏腹にリコは自然と顔を背けていた

その様子を見かねたのか、猿藤はやっぱりといった感じに言った

「注射って見るのもいいもんじゃないですね 飲み物でも買ってきます」

猿藤の気遣いに少し救われた

実際、今にも気が遠くなりそうだったから・・・

部屋を出て行こうとする背中に向かってリコは言った

「私にもジュースお願い。甘いやつね」

この言葉にはさすがに辰巳も手を止め制した

「無糖のレモンティーにしといてください」
「あっはい・・・」

「ちぇっ・・・」

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