夢から覚めて
車を降りてリコを追いかけ腕を掴むと振り返ったリコは泣いていた

「リコ?ゴメンな」

抱き寄せるとリコは駄々をこねる子供のように俺の胸を叩いた

「ムラのバカ・・・大嫌い・・・」
「ごめん・・・でも」

「聞きたくない」
「リコ・・・」

「デートじゃないなら帰る」

離れようとするリコを村井は離さない

「苦しくなるの嫌だろ?」
「いいよ・・・デートできるなら苦しくてもいい」

「俺は苦しんでるリコを見たくない」
「・・・そんなこと言うムラは私も見たくない・・・」

リコは騒がしくなる胸を無視して力いっぱいムラの腕を振り払うと、小走りに村井から離れて出口に向かった

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