夢から覚めて
夜、枕元の携帯が鳴る

村井から・・・

昼間、村井が何も言わず病院に連れて行った時からイライラしていた

苛立つ理由はデートだと偽って病院に連れて行ったことにじゃない

体の心配しかしない村井と、そんな村井と一緒に居ると病気を忘れられない自分・・・

土手で小柳が抱きしめてくれたときに得たドキドキみたいに、昼間ムラと二人で普通の恋人がデートするみたいに、病気のことを忘れてドキドキするデートがしたかった・・・

電話口で話す村井にリコは言った

「・・・暫く会いたくない」
「リコ??昼間のこと怒ってるのか?」

「そんなんじゃない」
「だったら俺のこと嫌いになった?」

「ちがう・・・ムラのこと嫌いになったんじゃない・・・けど・・・」

受話器から聞こえるリコの声は涙声でかすれる

「?」
「ムラといると辛いから・・・」

「??」
「自分が病気だってこと忘れられなくて辛い・・・」

「俺が医者だからか?」

< 62 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop