夢から覚めて
リコの一方的な言葉で切られた電話

もう一度話がしたくてリダイヤルするが電源が切られて繋がることはない

ツーツーツー・・・

耳に届く音は虚しく、リコが自分を拒否していることを伝えてくる

見てもらえないだろうけど、取りあえずメールを送る

”リコごめん

リコが俺のせいで辛い思いしてるのに気付かなくてゴメン

普通のカップルみたいにしてやれなくてゴメン

医者と患者じゃなく男と女として、俺はリコのこと想ってるから

また嫌がるかもしれないけど心配だから書くけど・・・

発作起きてるなら一人で我慢しないで病院来て

俺じゃなくて平田Dr.のとこでもいいから

これ以上、リコに苦しんで欲しくない”

その晩、返信が来ることはなかった

電源を切ってるなら見てもないだろう・・・

リコの心も体も心配だけど、今は何もする術がない

こんなにも、自分がやるせない気持ちになるなんて・・・

涙声にかき消されたリコの言葉が耳に残ったまま夜が明けた
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