夢から覚めて
「四人ですか?」
「はい」

係員に聞かれ躊躇なく応える小柳に、不服そうな顔をする先輩

「せっかく四人で来たんだから四人で乗るもんだろ」

小柳が最もらしく言えば、春さんって恥ずかしがり屋さんっとカラカウ先輩

四人でゴンドラに乗り込むと思った以上に揺れる

椅子に腰かけひたすら無言でいると、小柳が心配する

「恵理子ひょっとして高いとこ苦手?」

無言で頷けば、先に言えよっと困った顔をする

「大丈夫だよ 遠く見てれば怖くないから」

俯く恵理子の顔を覗き込むように向かいの席からマネージャーが声をかけてくれる

その横で我関せずとばかりに前後の景色を悠々と見る先輩・・・

動くたびにゴンドラが揺れるんですけど・・・

ゴンドラの揺れに手が震える

「恵理子・・・」
「ごめんなさい・・・私のことは気にしないで景色楽しんでください 平気なで・・・」

心配する小柳に心にもないことを言う

ホントは降ろしてっと泣き叫びたい

誰かに傍でギュってしててもらいたい

そんな恵理子を察して小柳が揺れないように少しずつ距離を詰め、空いた手で肩を抱き寄せる

「これで少し落ち着くだろ 大丈夫だから」

向かいの席で観覧車を選定した先輩はマネージャーに説教されながら景色を堪能していた
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