秘密の同居《番外編》
「……夏木……」
本田君の驚いた顔で、後ろにいるのが怜だと分かった。
「……こんな風に公表するつもりはなかったのですが、仕方ないですね。
本田君のお母様、勘違いされているようなので宣言しておきます。
彼女は私の妻です。
亮くんとどうこうなど、絶対あり得ませんので。」
再び体育館がざわつく。
怜!?
いきなりのカミングアウトにあたしも驚いた。
本田君も目を丸くさせて怜を見ていた。
「…保健医という立場で彼女は本田君と仲を深めようと一生懸命でした。
それで彼はその一生懸命さに心惹かれたんでしょう。
それをあなたが汚い言葉で打ち砕く権利はありません。」
悔しそうに顔を歪めるお母さんに、あたしも何か言おうと口を開いた瞬間、マイクの入った音が響いた。
「やめたいか、みっともない。」