黒アゲハ Ⅱ -真実- 【完】
これで何度目だろう……
この男が夢に出てくるのは……
でも……安心するんだ。
この男の声を聞くと、包まれたような気分になる。
一体……何者?
あたしはベッドから体を起こし、電源の切れたケータイを手に取った。
だが、なんとなく、ケータイを見ることができなかった。
今のあたしはあたしじゃない。
龍神にいるあたしでも、黒アゲハであるあたしでもない。
もう一人のアタシ
加減もできず、死んだように行動するアタシが今、あたしの中に潜んでいる。
そして……弱ったあたしを支配しているのだ……
こんなあたしじゃ龍神にいられない。