黒アゲハ Ⅱ -真実- 【完】


「だから……あたし、なんかしらあたしの家族には、秘密があるってわかってた……でも実際聞いたら……ッ…」


溢れる涙を拭き、息を整える。
シーンとした室内が、みんなの心を写し出していた。


「玲奈が見たアタシは……あたしじゃない……。あの時の記憶、黒アゲハの記憶も……一切ないのっ……」

「話してくれてサンキュな、結奈」


いつにない優しい声で裕也は微笑んだ。


「……でもアタシ、みんなを傷つけた……。ごめんね……」

「……大丈夫。玲奈達は結奈のこと責めたりしない。だって仕方ないことでしょ?ねっ?
結奈は謝らなくていいんだよ」


みんなの優しい声に、あたしはわんわん泣いた。

もう涙が枯れるんじゃないか、って思うくらい泣いた。


「いつまで泣くんだよ」


純は呆れた様子で頭をぽんぽん、と撫でる。


「だってぇ……みんな優しいんだもん……」

「Moka行けなくなるぞ?」

「え、ヤダっ!!」


泣くのをぴたりと止めてイヤがるあたしに……裕也は「うっわ〜Mokaで結奈泣き止んだし〜」なんて言って爆笑。


なんだかんだ言ってこのメンバーは涙の似合わない奴らだった。


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