苦い舌と甘い指先
整った唇が愛を紡ぐ。
「好きだよ……いや……愛してる」
あたしなんかよりも綺麗な瞳に視線を絡め取られる。
こんな至近距離で恥ずかしい筈なのに身体が動かない。
頭がぼーっとして、身体が火照って
「ジュノ……」
名を呼ばれるだけで、自身の奥の、奥の部分が熱を持つ。
吐息が 頬にかかる
瞼を静かに閉じた
彼まであと、3センチ
が。
♪~~♪~~~
……うん、ある意味ナイスタイミング。
テーブルに置いてあったあたしのケータイが震えながら着信を伝えている。
肥後は落胆した様子で身体を離す。
「……どうぞ」
「…なんか、すみません」
あたしが悪いわけではないのにへこへこ頭を下げながらケータイを手に取る。
ディスプレイには“ミツ”の文字。
やや躊躇ってから、通話ボタンを押した。