苦い舌と甘い指先
「あ、コレ一番好きなヤツ。分かってんじゃん、ミツ」
「…何年一緒に居ると思ってんだ」
苦笑交じりで胡坐をかくミツ。あたしは取り合えず肉を噛みながら、話し始めるのを待った。
「………」
「………」
この間がウゼェ。早く言えよ。
「お前は…」
やっと口を開いたかと思ったら…
「男が来てんのに、堂々とパンツをその辺に干してんじゃねぇよ」
全然関係ない事だった。
「…あたしが『きゃー!ミツのエッチぃ』なんて言葉を発すると思ったら大間違いだ。
それにボクサータイプだし、どっちかっつーと見せパンみたいなもんだろ?
あたしとお前は兄弟みてぇなもんだしさー。気にする方がどうかしてんぞ」
「……その考えが間違ってんだよ、馬鹿ジュノ」
意味分かんね。ウゼッ。
「…良いから話せよ。こっちだって忙しいんだよ。漫画読んだりさ、雪乃ちゃんがあたしに振り向いてくれるかどうかの瀬戸際なんだよ!!」
「お前またギャルゲーやってんのか…。
……話ってのは、だから、肥後の事…お前、分かってねぇだろうから」
分かってないって、何だよ。お前はあたしより知ってるって事なのか?
大体、興味のない話しを聞く程暇じゃない。
「…良いよ、別に。肥後の事なんてどうでも良い。キョーミない」
言いながらベッドに寝転ぶ。でも。
「聞け。聞かないと後悔する。…自分のすべき身の振り方ってのを分かってないと
お前、ホントに喰われちまうぞ」
真剣な声で言うもんだから、仕方なくだけど…耳を傾けてやる事にした。