苦い舌と甘い指先
「雪乃~!!会いたかったっ!!」
「おい貴様!俺をシカトしてゲームを始めるんじゃねぇ!!」
「うるせぇな。あたしは雪乃とお喋りしてるんだよ!
俺の妹に手を出すな!!」
「え!!いつ俺が出しました!?ねぇ、お兄ちゃん!」
うるせぇ。お兄ちゃんって呼ぶな、キショイ!!
ぎゃあぎゃあ騒いでいると、下から母ちゃんの叫び声が聞こえてくる。
「ガキ共ーーー!!飯だ飯!!
早く下りて来いや!!」
声と一緒に、金属がぶつかり合う様な音が聞こえてくる。
多分あれが警報かなんかのつもりなのだろう。
「……相変わらずだな、お前の母ちゃん」
「…どういう意味さ」
「元ヤンとしての名残があるって事だよ」
「…それ、母ちゃんの前で言ったら殺されるからな。
今はおしとやかなセレブママを意識してるんだっつってた」
『どこがだよ』と、冷静なつっこみを受けつつ
二人で仲良く階段を下りた。