苦い舌と甘い指先
飴玉
水曜。
今日はアイツの姿を見掛けない。
「ジュノ、何か食って帰ろうぜー」
「…夕飯食えなくなるだろうが」
ミツは見るからにご機嫌だ。
何でかって聞いたら、肥後の顔を見なくて済む日が出来て嬉しいからとか何とか。
何でミツがそれだけの事で喜ぶのか分かんねぇけど
あたしも余計な気を張らなくて済んでるから、まぁ良しとする。
「えー。じゃあ、ボーリングしてこうよ」
「二人で?超つまんね。…ボーリングしたいなら、他のやつでも誘えよ」
「……そうだなー。たまには大勢で、ってのも良いかもな。
おーーい!!今日、ボーリングいかねぇー!?ジュノが行きたいって!!」
おい、誰が行きたいと言った。と言うか、あたしは行くつもりなんかないんだけど!!
だが、思った以上にクラスの連中のノリが良くて
「行く行くー!!ジュノ、うまそー」
「うちらもーー!!」
…と、無駄に高いテンションで、クラスの半数が集まってしまった。
これじゃあ流石に行かないとは言えない。