苦い舌と甘い指先
ジュースを取られ、仕方なく肉まんだけを頬張る。
…あたしだって喉乾いてたのに…!!
「…美味しそうだね」
「ええまぁ。誰にもくれてやるつもりはないがな」
羨ましそうな顔でずっとあたしの行動を監視する肥後。視線が、痛い。
「………うぜぇな、お前は」
ムカつくけど、誰にもやるつもりはなかったけど
「おら」
「……くれるの?」
視線が痛すぎて、一人で食うのが忍びない。
別にコイツをもてなしてるわけでも、奉仕してるわけでも、負けたわけでもねぇ。
ただ……うん。あまりに哀れで?
…そうだよ。人の食い物を欲しがる位ひもじい奴なんだから。
「お前が貧乏だろうと思ってな。せいぜい噛み締めて食うが良い」
「あはっ。相変わらず思考がぶっ飛んでるね」
イタダキマス と、あたしの手から肉まんを持って行って、歯並びの良い口でガブリと噛み付く。
「んまい」
「……あ、そ」
……子どもみてぇに笑うんだ、コイツ。