苦い舌と甘い指先

「ミツ？」


“おお！ジュノか!!今俺、キム○クと喋ったぞ!!”


「…へぇ…それは凄い」



そうなると必然的にあたしの隣にキム○クが居る事になるのだが。


何かに気付く前に、とっとと話題を変えてやろう。



「…で？何の用だ」



“おーそうだった。お前、勝手に帰ってんじゃねぇよ。

皆お前と遊ぶの楽しみにしてたんだぞー”



……そんなわけあるか。



皆が集まったのは、ミツのおかげだ。



その証拠に、あたしが一人はぐれても　今まで誰ひとり気付かなかっただろうが。



ミツ、お前ですら。




「…悪かったな。また行く時があったら、その時は」



“……良いけど…。何かあったか？声が沈んでる”




お前の言動のせいだよ、とは言えなかった。っつーか、何も言えなくて。



「………」


“ジュノ？”



妙な沈黙を間に挟んでしまった。



こんなの、慣れてる筈なのに。



人との関わりを避けて来たあたし自身の責任なのに。



それでも、たった一人の友に忘れられる瞬間があるなんて



ショック以外の何物でもないんだ。