苦い舌と甘い指先
一人だけ余裕ぶっている所がホント、イラっとくる。
いつか絶対コイツの屈辱に歪む顔を見てやりたい。そんで一生馬鹿にしてやりてぇ!!
…ヤバい。想像したら何だか嬉しくなってきた。
「……何考えてるのか知らないけど、今の顔、超キモイよ?」
「何とでも言え!!そうやって余裕ぶっこいて居られるのも今の内だっ!!」
「……キミは“ぶっ”って付けたがるよねぇ。ぶっ死ねとか…」
呆れた顔をしながら、“よいしょ”とじいさんみたいに立ちあがる肥後。
「…何やってんだ」
「帰るよ」
「……何しに来たんだよ」
「…暇つぶし?」
疑問符をつけるな。っつか、首を傾げるんじゃねぇ。
「それに…」
言いながら窓の外をチラリと眺める肥後。
ため息をたっぷり吐いて、急にあたしの頭を撫で始めた。
「な…何だよっ!!さわんじゃねぇよ!!」
「………良いでしょ。今からキミを取られるんだから、コレ位は許される」
「はぁ?」
何訳の分からない事を、と言いかけたのだが
…ピンポーンピンポピポピポピポピピピピピ…
ムードもへったくれも無い、寧ろ近所迷惑でしかないチャイムの音が家に鳴り響く。