苦い舌と甘い指先
そんなあたしを見下ろしながらクスクスと楽しそうに笑う。
「何だ……。
寂しかったの?」
「……はぁっ!?」
笑うだけじゃ飽き足らず、あたしの頭をぐしぐしとかき混ぜてきた。
「ばっ…やめろっ!!ガキじゃねぇんだよ!!」
「…でも、オンナノコでしょ?」
「女でもっ!!あたしはこんなんで喜ばねぇんだかンな!!」
「そう…?
顔、真っ赤だけど?」
!!
……そんなの、自分じゃ分かんねぇし…。
だけど…さっきまでの憂鬱だった気分がどっかに行っちまっている事は確かで。
「……別に…。…お前に会ったからじゃねぇんだからな!!」
「はい?何だって?」
「うるせぇ!!ガッコいかねぇのかよ!」
「行く行くー。一緒に行っても良いの?」
「…勝手にしろ」
ぷいっとそっぽを向きながら歩みを進める。
ややあってから、嬉しそうにあたしの横に付く肥後が、何だか親鳥を追っかける雛みてぇだと思った。