苦い舌と甘い指先
教室に着くと、大半のクラスメイト達が教室で騒いでいたが
その中で只一人、負のオーラを身に纏っている男子が若干一名。
「…はよ」
「……おー…」
ミツだ。
外は真っ青な天井を見せる晴天なのに
ミツの周りだけ、雷雨状態だった。真っ黒。救い様の無い程に。
気付かないふりをしつつ、机に空っぽのバックを乗せる。
……沈黙が辛い。
何か話さなくては、と思うのだが
思いつく事は天気の話だとか、今日の弁当は何が入ってるだとか
全くどうでも良い様な話しか思いつかず、諦めてケータイを只見つめる事に徹した。
すると…
「おはよぅ、ミーツッ!」
「ぐぁっ」
可愛らしい声と、蛙を潰した様なキッタネェ声が折り重なる様に聞こえて来た。
「…夏輝か。朝っぱらから抱きつくなよ」
「えぇ~?じゃあ、夜なら抱きついてもイイって事?」
「な…っバァカ!!ちげぇよ!!いつでも駄目だ!!」
「ミツ顔真っ赤だぁ~」
………何だこのバカップルな感じの会話は。