苦い舌と甘い指先
今までの自分には無かった感情が頭をもたげて、あたしを困惑させる。
ブレザーを通り越して、掌にまで痛みが伝わって来た。
「ジュノちゃん…?」
「…え?」
「顔…怖かったから…。どうかした…?」
「……何でも無いよ」
ぎこちない笑みを作って拳を解いた。それでもひりひりと痛かったのだけど。
「…それで。どっちかと付き合ってるかどうかを聞く為だけにこんなとこに居るわけじゃないよね?」
…ちょっと言い方がキツかっただろうか。
夏輝はビクリと身体を硬直させ、言いにくそうにしながら、でもはっきりと良く通る声で核心に迫る。
「ジュノちゃんに、どっちかで良いから…譲って欲しいの」
「…譲る…?」
言っている意味が把握できない。
それはつまり、えーと…
「ミツかトシ、どっちかで良いから…っ
あたし…二人の事、比べられない位好きなの…。
でも、二人ともジュノちゃんの事しか考えてなくって…でもでもっ
やっぱり諦められない…。
…だからねっ!お願い…どっちか、あたしに譲って下さい…!!」
「ちょ…ちょっと!!待って!!」
……マジ超展開過ぎるべコレ。