苦い舌と甘い指先
そもそも、だ。
譲って欲しいってのは、あたしの所有物に対してなら分かるが、
生憎というか幸いな事というか、とにかくあんな男共を一瞬でも所有した覚えは無い。
そんなものを譲れと言われても、返す言葉は
「や、無理っしょ」
に尽きる。うん。
だけど、夏樹はこの世の終わりって位に暗い顔で笑ったんだ。
「そ…そうだよねっ!!あたしなんかに…二人のどちらかを譲るなんて…勿体ない事しないよね!」
「いや、そうじゃなくて……ん゛?勿体ない?」
「え…?てっきり、ジュノちゃんも二人の事が好きだから、片方でも渡したくないんだと…。違うの?」
「違う!」