苦い舌と甘い指先
いつも通りに机に突っ伏してタヌキ寝入りを決め込んだ。担任や教室に訪れる教師共が何か言ってたが、そんなのあたしには関係ない。
教室のど真ん中で暴れ出さないだけマシだと思えよ。
そんな事を思いながら、窓から差し込む太陽のあったかい日差しを身体に浴びていると
タヌキ寝入りだった筈が、いつの間にかホントに寝てしまって居た様で。
「おい、ジュノ。お前今日購買だろ?買いに行って来いよ」
「…もう昼か。しゃーない。行ってくるわ」
ここは3階。一階にある購買まで行かねばならないと言うダルさはあるが、腹の虫が騒ぎ出している。
人気のパンは無くなってるだろうがソレは仕方ないだろう。とりま食えれば何でもいいわ。
タラタラと歩き、購買に着くと
「マジで何もねー」
案の定、残っていたのは不人気商品の『オクラパン』ばかりで。
コレしか無いとはいえ、あの粘っこいものがパンに乗っかってると思うと中々手が出ない。
なんで不人気だって分かってんのにこんなに仕入れるかなぁ!!
心の中で文句を言いながら、オクラパンと牛乳を購入した。
歩きながらストローを刺して、牛乳を吸い上げる。
「…っかァアアア!うめェ!やっぱり寝起きの牛乳は格別だな!」
廊下に響き渡るあたしの声。購買のおばちゃんが、豚みたいな腹を揺らしながら豪快に笑っていた。
…一人で大声出してんのって、結構恥ずかしいのな……。
まあ、幸いおばちゃんしか聞いて無かったみてぇだし……
「ふはっオヤジが居るよ、オヤジが」
わー。誰か居たー。