苦い舌と甘い指先




「離…せ…っ!!」


これじゃあパンツ丸見えじゃねぇか!


おまけに肥後も一緒に収納棚に入って来て




バタン




扉を閉めやがった。



教室の掃除用具入れよりは広い作りになっているとはいえ、やはりここは掃除用具入れ。


ヤツの体とあたしの身体が密着するのは至極当然のことだった。



「何やってんだよ!馬鹿じゃねぇの!?早く出ろ!」


「…五月蠅いって、何度言えば分かる?」


「五月蠅くても何でもいいから、退け!マジで!叫ぶぞ!!」


片足で立つのにも限界がある。


何の為にこんな事をするのか、何に対してコイツがキレてるのかが全然理解できん。


こんなに狭い上に、利き足を取られてしまっては


両腕で肥後の体を押しのけながら罵倒にも似た説得をし続ける以外に、ここから出る方法は無いと思った。



「もし誰かに、こんなとこ見つかったらどうすんだよ…!」


あたしは夏輝の事を言ったつもりだった。だけど、肥後はそうは取らず、益々機嫌を悪くしながらあたしの手首に手をかけてくる。




「…誰かって?誰の事を言ってるの?

先生?生徒?用務員?それとも…


大事な大事なオトモダチ…?」


「…っ!」


疑問符が付いた文章ばかりを並べながら、あたしの両手首を器用に片手で持って、頭の上に移動させてくる。


こんの…バカ力がぁ…っ!!!


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