苦い舌と甘い指先




抵抗を試みるが、力を入れる度に食い込む肥後の爪が痛くて。取り合えず、手の力がゆるむ隙を見つけるまでこうする事に決めた。


「……お前こそ、夏樹に見られたらどうすんだよ。あんな可愛い子と付き合えて、あたしなんかに手ェ出したりなんかしたら、お前相当な変態だぞ」


「…夏輝…?……ふぅん。心配してくれてるの?

でもさ、それって見つかんなきゃ良いってことでしょ?じゃあ、黙っとけばいい」


「は?お前マジでイカレてんのか?」


「…そうだよ」



あっさり認めやがってこん畜生!!


「あたしが夏輝に言わないとでも?」


ちょっと脅してみたりもしたのだが。


「…言わないよ、キミは」


あっさりとあたしの思考回路を読みとった。



…いや、読み取るだけでは無かった。




「絶対に言えない様な事、しちゃえばいいんだから」



逆に脅しまでかけてくるコイツはマジでキチガイだと思った。




「…そうだね、まずはその口、塞いじゃいたいよね」


「………ウッッッザッ!寄るなっつってんン゛ーーーーー!!!」


早速舌突っ込まれたーー!!


ガタガタと、足元に転がる箒やモップが音を立てる。


その間にも口内は肥後の侵入を許し、クチャクチャと卑猥な音を響かせていた。


抵抗もしてるが…足がもう、限界だ…っ!



「…おっと」



ガクリと崩れ落ちそうになったあたしを、とっさに手首から離した手で受け止める。



「……何、感じすぎちゃったの?腰が抜ける程に?」


「…ンなわけあるか…っ!死ね!つか離せ!」


右足が痺れて来てんだよ!!


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