苦い舌と甘い指先
赤面しながら罵倒するが、もたれ掛かった状態で強がってみても迫力など皆無だった。
案の定肥後は、ニタニタとイヤラシイ笑みをたたえたまま
「…味、口に残ってる」
そうやってあたしを挑発して来る位の余裕を持っている。
「さっきまで飴、食べてたから。
カフェオレの味、だ」
…確かに、あたしの飲んでいた牛乳とコイツの、いつもの珈琲味の飴が混じり合ってそんな感じの味になってるのは分かってるが
こうやって改めて、しかも卑猥な言い方をされると赤面せざるを得ない。薄暗くてそこまでは分からないとは分かっていても、つい顔を見せまいとそっぽを向いてしまう。
「…馬鹿かお前は…っ!そういう事、言うんじゃねぇよ!」
「はいはい。それよりさ、こっち見てなくて良いの?」
「あ?」
考える前に、予感があたしの顔を前に戻した。が、それでも遅かった。
「はっ…!!ぁ…っ」
首筋に生温かい何かが這っている。思わず出てしまった甘い声に口を塞いだ。
「…どうしたの?抵抗しないの?」
「…るせぇよ…っ!!」
「何が?五月蠅いのはキミの方じゃない?
……そんなに可愛い声出しちゃってさ」
「…何…を…っ!っうぁ…っ」
「……もう少し抑えて貰わないと。ほら、誰か来るよ」
その言葉のすぐ後に、女子生徒の高い笑い声が聞こえて来た。
ならやめろ。そう言おうと思ったが、頭がぼーっとして思った通りの言葉が出てこない。
それを良い事に、肥後の行動はエスカレートして行った。
「ちゃんと口、抑えておいてね」
「何す…っんん゛~~~~~!!!!」