苦い舌と甘い指先
だが、みんなの珍獣を見るような視線に耐え、ようやく今日のテストを終わらせる事が出来た。
「ジュノー。遊びに行こうぜー」
立ち直ったらしいミツが、ウキウキしながら話しかけてくる。
「…お前、何でそんなにテンション高いの?」
「は?テストは終わって午後はフリー!!天気もイイし、遊ぶには最高の日取りだと思うんですけど!!?」
「…テスト、明日もあるだろ……」
呆れ顔でそう言うと、またミツは白目を剥いて倒れそうになった。
「な…何を仰ってるの…!?」
「だーかーらー。明日も明後日も明々後日もテストはあるだろっての。
勉強しないでお前、赤点とるぞ」
そう言い放って、ロッカーに置いてあった教科書をバッグに詰めに行こうとすると。
「じゅ……」
じゅ?
「ジュノが本気で壊れたーーーーーーーーーーー!!!!」
「うるせぇ!!!」
テスト勉強する事がそんなに驚く事か!
「だって…だって…!!今まで勉強なんかしてるとこ一度も見た事無かったし……受験の時ですら一夜づけすらしなかったお前が…」
「それかぁちゃんにも言われた」
「何でー!?どうしちゃったのお前ーー!!」
「…別に……。つか、マジで勉強するから帰るわ。じゃーな」
なんか、ミツの声で教室の外にもギャラリーが出て来たので、手当たり次第教科書を詰めて早々に退散する。
教室を出る時に振り替えると、ミツは 白目をむいて天井を見つめていた。