Someone loves me.
誰も信じないよ…。
それが一番、傷付かない方法。
いいんだ。
これで……。
そうしたら、あたし笑っていられる。
「美結、移動教室だからいこ?」
友達の綾香(あやか)に手を引っ張られた。
いきなりの動作に驚きながらも、綾香についていった。
「そういえば、3組の橋本君、美結のこと好きなんだって。なんか聞いた?」
橋本……?
あぁ、短パツのやつだ。
つい最近、告られたばかりだった。
「…うん。最近告られたよ…?」
わざと照れてるように少しうつむいた。
まるで、純粋な女の子を装うかのように。
「えぇ!行動はやっ!あたしが聞いたの昨日なんだよー?」
大袈裟なくらい驚いていた。
セミロングの焦げ茶色の髪を揺らしながら長々と話している。
あたしは聞くのが面倒になり、てきとうにあいづちをうっていた。