kiss me PRINCE!!
ex.真夏の天使


あれは8月の終わり。

晩夏の強い陽射しが降り注ぐ昼下がり、俺は天使を見た。






部活を終え、家までの帰り道。

制服の開襟シャツの胸元を掴んで、蒸れた肌に風を送る。

たとえ部活でも、登校の際は制服着用という校則を殊勝にも守っているが、まとわりつく布が鬱陶しくて仕方ない。

黒いエナメルのスポーツバッグは太陽の熱をこれでもかというくらいに溜め込んでいる。

夏は嫌いじゃないが、こうも暑いと嫌悪感を超えて、生命の危険を感じる域に入ると思う。



だらだらと歩きながら、俺はそんなことを考えていた。


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