kiss me PRINCE!!
本当に、偶然だった。
信号もない小さな交差点でふと視線を横にずらすと、そこに人影があった。
俺と同い年くらいの女の子。
少し距離があったけど、両目ともに視力が2.0の俺でなくてもわかる、目を奪われるような美少女だった。
ほっそりと引き締まった身体を包む白いワンピース。
その姿は、陽炎にゆらめいた天使のようだった。
歩くことも忘れて見入ってしまったのは、その美しい外見のせいではない。
その美少女の、氷のように冷めた瞳となにかを諦めたような表情。
それが俺の心を突き刺したからだ。