kiss me PRINCE!!

美少女は俺の存在に気づいていないようだ。

自動販売機に硬貨を入れ、飲み物を買っていた。

その動作のあまりの自然さに、数秒前に見たあの表情は気のせいだったかもしれないと思い直す。



しかし。


しゃがんで青いラベルのスポーツドリンクを取り出した美少女は、そのまま立ち上がらずに膝に顔をうずめていた。

買ったばかりのペットボトルを額にあて、細い肩を震わせている。

自分の中でなにかと葛藤しているようにも見えるその姿は痛々しかった。





その背に生えていたのは、天使の翼ではなく。


傷ついてぼろぼろの、引き裂かれた翅。


それでもやっぱり俺には天使に見えた。




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