kiss me PRINCE!!
「沙世、今週のジャンプある?」
あたしの言葉をさらりと受け流すヒロ。
むくりとベッドから起き上がったあたしは、乱れた髪を後ろに払いながら言った。
「尚兄が買った」
「ほんと? じゃあ借りよ」
あたしの部屋から出たヒロが、兄の尚也の部屋をノックする音が聞こえた。
いくら言っても、あたしの部屋に入るときにノックなんてしたことないくせに。
隣の部屋での話し声を聞きつつ、あたしはラグに座ってそのへんにあった雑誌を手に取った。
ベッドにもたれてそれを読む、ふりをする。
っていうか、エアコンつけてるのに、どうしてドアを開けっ放しにするかな。
しょうがないからあたしが閉めようと腰を上げたところで、ヒロが戻ってきた。
今度はちゃんとドアを閉めて、当たり前のようにあたしのベッドで横になるヒロ。
枕カバーもシーツもこまめに洗濯してるから、変な臭いはしないはず。
それどころか、あたしのシャンプーの香りがうつっているのか、枕に顔を押しつけて、いい匂いなんて言ってる。
やめて、心臓が破裂しそう。