kiss me PRINCE!!

メニューを決めたところでちょうど、なんだかやる気がなさそうでチャラチャラした男の店員が来た。

あたしがホットココア、亜美がロイヤルミルクティー。

店員はだるそうに少々お待ち下さいませぇー、と語尾を伸ばしながら言って、足をひきずるようにして歩いていった。

バイト代もらってるんだからちゃんと働けよ、とあたしはその背中に向けて心の中で毒づいた。


ああいう男は嫌いなタイプだ。

だるそうにしてるのがカッコいいと思っていそうな。

清潔感のない服装に髪型。

その店員が腰で穿いたパンツの裾が擦り切れてるのを見て、短い脚を余計短く見せてどうするんだ、と思った。


「で、なに? 相談って」


亜美はなんだか楽しそうに笑った。

こっちは楽しくないんだけど、とは言えない。

いつの間にかカラカラになってた口を水で潤してから、あたしは口を開いた。

まわりに知り合いがいないかを入念に確認して。


< 20 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop